011 台湾に旅行して 2006年4月
早稲田大学 名誉教授 鈴木辰紀

 私は 3月3日から9日までの1週間4回目の訪台をしてきました。今回の訪台の目的は、2月28日に出版していただいたばかりの『台湾の強制自動車責任保険法の改正』(日交研シリーズC-44)執筆に絡んで、資料提供等でお世話になった先生方に直接お礼を申し上げることでしたが、同時に台北以外の場所を訪問することも意図していました。

 台北に着いて最初に経験したのがもの凄い交通渋滞でした。私が直接お礼申し上げたい先生方に台北市中山北路にある日本料理店「浜松や」にご参集願い、19時からの宴会を予定していたところ、我々を乗せたエバー航空2197便が定刻の16時50分前後に到着したにもかかわらず、チェックアウトの時間を含め空港から「浜松や」到着までに約3時間を要し、開宴予定時刻に1時間遅れることになりました。

 我々が到着した3日が花金で、しかも交通が込み合う夕刻時に市内に入ろうとしたのが原因だったでしょうが、この一事で台北市の自動車台数が前回訪問時(2001年)より遥かに増加していることを実感しました。その渋滞は台北市内に入ってからひどさを増すものでした。

 開宴予定時刻に遅れることが判った時点で付添の李宗容君(早大大学院での教え子)に同君持参の携帯で「浜松や」に待機している先生方に連絡し、渋滞のため遅れる旨伝えさせましたが、実際に「浜松や」に着くまでの私の心労は言葉では言い尽くせないほどのものでした。「浜松や」に着くや否や、私は車内で憶えた「対不起」(日本語で「ご免なさい」の意)を連発して陳謝しましたが、出席の先生方は実に寛容にお許し下さいました。それは交通渋滞はお前の責任ではないとの意から出たものと思われますが、これが訪台直後に味わった最初の焦燥でした。

 今度の訪台で初めて台北以外の地に足を延ばしました。すなわち、東海岸の花蓮、南の高雄、南投の景勝地・日月潭などです。なかでは高雄が最高の印象でした。高雄の景勝地・澄清湖の優美さもさることながら、夕食にいただいた「嘉珍客家菜」の客家料理の旨さと安さは驚愕ものでした。期待していた南投の景勝地・日月潭は生憎曇天だったためか印象はいまいちでした。

 それより印象に強く残ったのは、台北市内の交通事情の悪さです。我々が泊まった「緑峯大飯店」前の通りは右折禁止、歩道はすべてスクーターにびっしり占領されており、歩道の役はまったく果していません。また車道も両側がびっしり駐車場になっているため、我々は車の間を車を避けつつ歩くという体たらくでした。よって右折禁止は日常茶飯事のようでした。ただし、今度の訪台で感じた台湾の良さはなによりも物価の安さです。なかでもホテル代・食事代・タクシー代の安さは抜群で、この点はすべての旅行者にとり一番有り難いことだと思いました。

 我々の帰国前夜の8日夕には先の「浜松や」の答礼の意を含めてか、台北の新光三越8階の「欽葉」(代表的な台湾料理の店)の個室で我々の歓迎宴が催され、そこには、陳継尭先生ご夫妻をはじめ諸先生方がご出席の素晴らしい宴席が持たれ、私も拙い英語でお礼のご挨拶を申し上げ、まことに台湾の皆様のご親切が身に沁みる4度目の訪台でした。

   著者プロフィール
 鈴木 辰紀
 (すずき たつのり)
 鈴木辰紀


経歴
1953年3月 早稲田大学第一法学部卒業
1959年3月 早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了
1962年4月 早稲田大学助教授
1967年4月 早稲田大学教授、商学博士
現在、早稲田大学名誉教授

主な著書
「自動車保険制度の現状と課題」1997年、編、保険毎日新聞社
「自動車保険の現代的課題」2000年、成文堂
「新保険論−暮らしと保険」2003年、編著、成文堂
「現代危険と傷害被害者の補償−民事責任拡張の代替物:実損填補型傷害保険−」2004年、抄訳、成文堂
 その他論文多数


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